ランドセルの詩


『詩集ノボノボ』より

ランドセルの詩

 ぴっかぴっかのランドセル

 いったい何が入っているか

 知っている?
 
 私はこの歳で知った 

 いや 思い出した


 それは「夢」だった


 それを知ったのはゆうべ

 突然頼まれ 老ベビーシッターの私

 上の孫が 満面笑みで

 押し入れから出してきた

 ビニールがついたままの

 ぴっかぴっかのランドセル

 じいちゃん 見て見て!


 リュックサックのような

 大きいランドセル

 自慢げに背負ってみせる

 孫の顔は ほのかに

 幼児から 少年のきざし


 小学校入ったら

 足し算するんだよ!

 本読みもするんだよ!

 学校終わったら 児童館でも

 みんなで勉強するんだよ! 


 来春が待ちきれないように

 つぎつぎと 学校への夢を語る孫

 思いがけなかった

 こんなに勉強を 楽しみにしているなんて

 保育園のお友達と みんなで

 夢を語り合っているらしい


 勉強って 苦い食べ物みたいに

 思っていた

 子どもも だれでも 嫌いだろうと

 
 はずかしくなってきた

 自分のときはどうだったろう

 勉強したくてもできない子たちは

 どんな気持ちだったろう


 教えられた夜だった

 勉強って 本当は

 とても楽しいものなんだ


 それにしても

 ランドセルは

 じいの私が 買ってあげたかったな〜