2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧

いくさの話

(香月泰男 かづきやすお シベリア・シリーズ「点呼」) 『詩集ノボノボ』よりいくさの話 もう何百回 聞いたことだろう 父の戦争体験記 シベリア抑留記 そして帰国後のあれこれ とまどいを 終戦の前の年 学徒動員やらで 貨車に 貨物船に 家畜のように積みこま…

焼き鳥のけむり

『詩集ノボノボ』より焼き鳥のけむり たまにしか行かない近所の居酒屋で 焼き鳥を焼いてもらった 帰ってきたら 体が焼き鳥のけむりくさい たった二串だけなのに 十数年前を思い出した あれは駅前の小さな居酒屋 私より一つ上のおばさんがやっていた たまに一…

緑の絹をつらぬき通す

『詩集ノボノボ』より緑の絹をつらぬき通す 「金色の光の針は 緑の絹をつらぬき通す」 で、始まる詩を書いた あれは高校二年 国語の時間 「みんな外に出ろ 詩を作ってこい」 と、先生が言った 光まぶしき初夏の あの日 芝生に寝転び 空を見ながら想を練った …

すべり台の子供たち

『詩集ノボノボ』よりすべり台の子供たち さわやかな秋の昼 公園まで歩いて行った 途中レッドロビンの生垣に 季節はずれの色とりどりの朝顔が 一緒にきれいに咲いていた 人通りがほとんどない小路は とっておきのあれこれを見せてくれる たまに通る人への大…