ばあちゃん食堂

『詩集ノボノボ』より

ばあちゃん食堂

 おととい スタッドレスに交換した

 ずいぶん早いな? わけがある

 あした 私はもみじ号の運転だ

   
 乗客はといえば

 親父に 元親父の同僚女先生二人

 みんな八十以上の一人暮らし

 きっと 若いと言われるな

 あたりまえだが


 栗駒方面を ぐるっと廻って

 紅葉フィナーレ 鑑賞ドライブへ

 山道だから スタッドレス


 タイヤ交換中 ちょうど昼飯どきだった

 大きなラーメンチェーンの隣に

 小さな中華そば屋が

 ひっそり 建っていた

 
 初めて入ったら

 カウンターの中に ばあちゃんがいた

 すっかりちぢんで

 カウンターと同じくらいの背丈だ


 お客さんは みんな なじみのよう

 ばあちゃんと言わず おばちゃんと言う

 心優しき ガテン系の男たち


 ばあちゃんが 運ぶラーメン

 おっとっと〜!

 ハラハラするけど ほんわかする気持ち

 こんな店は どこでも味がいい


 ふと 先日親父と食べた 蕎麦やを思い出した

 塩竃神社の帰り道

 十数年ぶりに入った 小さな蕎麦や

 昔も今も大賑わいだ

 味はいいし 安くて 盛りもいい

 
 以前 ここにも ばあちゃんがいた

 ゆったりと 丼を運んでいたな

 さすがに もういなかった。。。

 かわりに 嫁さんかな 跡を継いでいる


 岩出山の 隠れや的中華そば屋にも

 名物ばあちゃんが 丼運びをしていたな

 あのばあちゃんは元気かな?


 あったかい食い物には

 ぶ厚くて あったかそうな

 ばあちゃんの手が よく似合う

 だれでも おふくろを思い出すよな


 ばあちゃんたちは まちがいなく

 日本が誇る

 世界最高の ウェイトレスだ