タイムマシンで旧友と再会


(中学二年。左から二番目が直哉君、右端は私)

『詩集ノボノボ』より

タイムマシンで旧友と再会

 お釈迦様はさすがだ!

 今に至るまで

 タイムマシンは動いている

 年に三回 彼岸と盆に

 霊界パワーが全開となって 

 時空を超えた再会がある


 そして私も 懐かしき友と再会した

 それは 彼岸明けの日

 仙台市の葛岡霊園で

 
 高速を飛ばし一時間

 久しぶりの広大な霊園

 この前墓参りしてから もう十年

 やっと探し当てたよ 君の墓

 ご無沙汰のしすぎだね〜〜〜


 たむける線香の煙が

 墓石のまわりを

 おだやかに漂いはじめ

 ふと感じる 懐かしき君の気配


 互いによびかけた

 「ひさしぶり〜!」


 私は 供えられた彼岸の花を見て

 山形に住む君の母上、妹さん

 お二人の顔を思い浮かべたよ

 お元気にしていらっしゃるだろうか?


 君とは親友だったよな〜 
 
 小学校のときに転校してきたっけ

 中学校では テニスのパートナーだったよな

 私が前衛、君が後衛だった

 
 やがて 君とご家族は仙台へ引っ越す

 社会人となった私たち

 高校の先生となった君は

 若いのにもう指導主事

 無理をしたのか させられたのか

 ある日自宅で 突然死んでしまった

 四十二歳という若さで。。。


 私は手を合わせて対話する 

 「直哉くん、ずいぶんご無沙汰したね」

 「カワ、待ってたよ。でもどうしたの?」

 「実は君の母上のことを思い出してさ」

 「それでついでにかい。ハハハ君らしいな

 ぜひ聞かせてくれよ」


 私は前日、録画したある映画を見終わった

 それは「カラマーゾフの兄弟」

 三編に分かれ、延べ四時間以上の大作映画

 高校一年生のころ、君の母上と話が合って

 仙台で一緒に観た映画だった

 私も友人も 君の母上にはとても大事にされていた


 「そうか〜、おふくろには

 俺の分まで長生きしてほしいな〜」

 「そうだよね。。。」

 君の顔は いつも微笑んでいる


 私の宝物だ 君と親友だったことは

 実は、あまりあの世も怖くないんだよ

 君とまた あれこれ話ができると思うから


 彼は私のとても良き理解者だった。

  →知恵ある友

 だから こんな言葉が聞こえてきた 

 「カワは元気で暮らしてくれよ、

 以前のように いろんな楽しい挑戦してくれよ

 俺は楽しみにしているよ!」

 
 やはり 君は(今でも)思いやりあふれる

 とんでもなくいい奴だ!

 線香のせいか 花粉のせいか

 やけに涙目に悩まされる日だな〜 きょうは


 こんな至福のひとときも あっというまだ

 タイムマシンは エネルギーがとてつもなく必要

 だから 線香の煙がたなびく間だけ稼働する

 ・・・・・・・・

 ところがだ!

 その日帰ってから 実家の押入で見つけたんだよ

 小型タイムマシン

 それは 四十六年前のこと

 君と私たち悪友どもで一緒に撮った

 もうセピア色に変わった カラー写真だ

 君が仙台に転校する前

 中三に上がる年の春

 土手やお墓で記念に撮ったレアものさ


 このタイムマシンに向かって 

 私はつぶやいた

 「また会おうな〜 直哉くん 元気でな〜」

 →中2の思い出アルバム