トランプと孫たち

『詩集ノボノボ』より

トランプと孫たち

 変化の激しい一日だった

 初雪が降り

 しかも いっとき吹雪になった

 止んだとおもったら

 トランプが大統領になっていた

 夜には 強風がうなり始めた

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 午後は孫守りを頼まれた

 吹雪の中 2キロの道を歩いてくる

 小学生ってたいしたもんだな〜

 小一の孫娘は いつものように隣の家で宿題?

 小四の孫は 庭で同級生とバドミントン

 子供はほんとに風の子だ

 風邪の子でもあるけどな〜

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 痛い股関節をだましだまし

 いつものように家政婦しごと

 掃除機かけ、おかずつくり

 共稼ぎ夫婦へのお手伝い

 家とか、父親宅とか、こことか

 私は毎日 どこかでおかずを作っているな〜

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 すっかり暗くなったので

 孫たちが家の中に入ってくる

 母親が来るまで 孫娘とトランプ遊び

 孫は私がつけたニュースを眺めている

 テレビでは トランプ勝利の映像

 「トランプかった!?」と私

 「えっ、じいちゃんどこにあるの?」

 トランプ候補とトランプカードを

 間違えた孫娘に トランプしながら

 皆で大笑い

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 小四の孫が突然たずねる

 「じいちゃんはクリントンとトランプどっちがいいの?」

 ここから私のうんちく話がはじまった

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 そのうちに話が大きくなってきて

 「どうして戦争なんかするんだ、おれはぜったいいやだ」

 と孫が独り言をつぶやく

 孫は最近 戦国武将にえらくご執心で 

 中学校では剣道部に入りたいらしい

 臆病たかりがひっくりかえって

 国士になったら少し怖いな〜

 なんて もっけやみ(取り越し苦労)してたので

 実は ホッとした

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 さて、また孫がたずねる

 「じいちゃん、なんで戦争なんかするの、人殺しなのに」

 よくぞ言ってくれたと思いつつ

 「そのとおり、だけど。。。」

 と、ろくなことを言えない自分

 物心ついてから

 ほぼ毎日考えてきたことなのに

 しまいには、兄弟げんかの話にかえて 煙に巻く

 ろくに答えられない自分が情けない

 だから 本能にしたがって 単純で強い言葉を

 発するトランプが勝つんだよな〜

 情けない自分が そうでなくなるような気がしてさ