道路はミクロの決死圈


→映画「ミクロの決死圈」

『詩集ノボノボ』より

道路はミクロの決死圈

 道路は血管とそっくりだ

 四方八方、縦横無尽、日々新生される道路網

 道路は地べたに張り付いている

 だから血管と違うって?

 それがそうじゃない

 高速道路を空から写したら

 それはかつて少年たちが、未来予想図に描いたとおり
 
 空中を走る高速チューブのよう!

 やはり道路は血管なのだ

 そして、走る車は血球や血小板だ

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 乗用車やトラックは酸素を運ぶ赤血球

 血管のところどころにあるスタンドで

 ガソリンというエネルギーを補給して

 人や荷物という酸素を、すみずみまで運ぶ役

 血管道路を24時間365日走り続ける

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 時に事故や災害が発生する

 血液の流れは寸断し、このままだと身体が危うい

 そんな時、サイレンを鳴らしてやってくる車たち

 事故や災害現場に直行し

 流れを回復しようと奮闘する

 その白血球やリンパ球こそ

 パトカーや救急車だ

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 ところが道路の損傷が激しく、すぐには直らない

 出血を止めようと、血小板が集まってくる

 それが工事車両、つまり重機ってやつだ

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 こうしてみるとミクロもマクロもそっくりだ

 だったら究極の人口爆発対策は

 宇宙移民よりも人間ミクロ化がいい

 そうすると細菌との戦い方も変わるな〜

 なにせ細菌が、犬や猫と同じ大きさになるのだから

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 そうなったとしたら、時代劇や西部劇の出番だな

 日本刀でバッサバッサと滅多切り!
 
 二丁拳銃でバキューン・バキューンと乱れ打ち!

 懐かしの銀幕が復活だ

 三船敏郎、ジョン・ウェイン、ジュリアーノ・ジェンマ!

 戦い好きにはたまらないだろう

 マクロの時代、人同士の殺し合いとは共食いだった

 これからは、疑いなき悪党細菌たちと一騎打ち!

 これが真のヒーローってわけさ

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 待てよ?

 アリンコはゴジラよりはるかに大きくなるな〜

 犬猫なんて大きすぎて視界に入らないな〜

 というか、彼らの身体が地球になるんだな〜

 本末転倒して何かと大変そうだ

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 『ミクロの決死圈』の出演者はこう言うだろう

 「ミクロの世界も楽じゃないぜ。。。」

 そして、こう続けることだろう

 「戻ったマクロ世界も大変で、結局どこもおんなじさ」

 それにしてもあの映画は、昔の傑作だったよな〜