笑いのお風呂


(北斎漫画より)

『詩集ノボノボ』より

笑いのお風呂

 露天風呂には三人 

 私とパパと子供の二人組

 ま〜るいお風呂のへりには何ヶ所か
 
 オーバーフローの排水口がついている

 ゴボゴボゴボッ。。。と

 しじゅう音を立てている

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 小一くらいの子供が

 何の音だろうと不思議がる

 パパは笑い顔で教えてあげた

 「そこに温泉飲み込む人がいるんだよ」

 子供は神妙な顔をして おそるおそる見に行った

 そして自分も飲んでみようとする

 「しょっぱ〜い!」

 「ハハハ、嘘だよ。ひっかかったな」と

 パパは大笑い 私も思わず大笑い

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 この子供にはもうひとつ笑わされた

 「パパ ここのお風呂の素は何使ってんの?」

 パパが何と答えたか 忘れました

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 前の日に 私は超名作映画を観た

 もう4回目だ

 ウォルフガング・ペーターゼン監督作品

 『Uボート』

 最初は映画館

 それからはDVDや映画専門チャンネルで

 実に重く、人間臭く、張りつめた

 静かな感動作だ

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 サウナの中で この映画を思い出した

 Uボートの幅って これくらいだろうか

 50人もの乗組員は

 こんな具合に 密室にいたのだろうか

 大汗かいたオヤジの群れが

 密閉された潜水艦で 獣のように暮らす

 ひげ面の士官や兵士たちを彷彿とさせる

 そんな想像に つい一人笑ってしまった

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 脱衣場では 別なパパと子供

 露天風呂のパパとは正反対

 「こら! ちゃんと身体拭け」とか

 厳しいお父さんだ

 人生いろいろ 父親もいろいろだな

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 そういや、いつぞや変わった大人がいたっけな〜

 入れ墨をした若い男と 甥っ子の二人連れ

 若い男が脱衣場で 大きな声で甥っ子に言う

 「俺はな〜 ヒーローになりてえ〜んだよ」

 なんども叫ぶようにして言うから ちと怖かった

 今思うと笑ってしまうな〜

 甥っ子は きっとこう思ったことだろう

 「おじさんはきっと仮面ライダーになるんだ!」

 おじさん、まちがってショッカーにならないようにね

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 久しぶりの日帰り温泉

 開湯13年目のお祝いが先月あった

 でもどうして13年目の祝いなのだろう?

 13回忌ならわかるけど。。。

 これはちょっと笑えないよな〜