ダース・ベーダーになっていく。


(『ダース・ヴェイダーとルーク(4才)』より)

『詩集ノボノボ』より

ダース・ベーダーになっていく

 参議院の選挙が終わった

 予想通り。。。

 そして 新しい時代がやってくる

 あのスターウォーズの

 「ダース・ベーダーのテーマ」とともに

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 ダース・ベーダーが この日本に

 恐怖とともにやってくるわけではない

 なんと!

 私たちが ダース・ベーダーになっていくのだ

 愛くるしかったアナキン・スカイウォーカーが

 あまりの痛みと絶望ゆえに

 黒カブト黒マントをはおったように

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 うっすらと気づいていないだろうか

 私たちの多くがすでに

 暗黒面に魅了されつつあることを

 いや 気づいていないふりをしている

 私も あなたも 彼も 彼女も

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 原子力技術の巨神兵 

 一度爆発したデス・スターを

 もう一度 再建しようとしている

 銀河帝国に強大な権力を

 維持していくために

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 かつて宇宙を 破滅的に汚したことなど

 皇帝も 将軍も ベーダ卿も

 そして そろそろ私たちでさえも 

 気になどしなくなってきた

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 かつてジェダイと思った政治家に

 大きく期待し 政権交代までしてのけた

 ところが ジェダイは偽ジェダイだった。。。

 あまりのひ弱さに幻滅し 

 私たちにはもう 選ぶものがなくなったのだ

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 ダース・ベーダーは息子ルークに説いた

 「おまえも 暗黒面の底知れぬ力を知ったなら

 きっとわかる」

 「私と一緒にこの銀河帝国を支配しよう」

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 私たちは知ったのだ

 幸せには「力」が必要だということを

 原子力のすさまじきエネルギーも

 統率された軍隊も 殺戮の勇気も

 果てしなき経済競争も

 それらをなくして 幸せはないと

 たとえ暗黒面の力でも 力は力だと

 だから 早く忘れてしまいたいのだ

 3.11デス・スター爆発のことなど

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 時はオーウェルの「1984」に向かって

 ゆっくりと逆進を始める

 「1984」の世界を知っている者は

 とても少ない

 実際に存在した地獄「1945」を経験した者は

 さらに少ない

 ヨーダのように オビ=ワン・ケノビーのように

 ジェダイは もうこの世にはいない

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 今この政治世界を

 スターウォーズ世界にたとえるなら

 エピソード3『シスの復讐』だ

 元老院最高議長として

 本音を隠し暗躍していたパルパティーンは 

 実はシス卿ダース・シディアス

 後の「皇帝」であった

 万雷の拍手の中 絶対権力を得た彼は

 ついに正体を現していく。。。

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 スターウォーズ世界は変転する

 この後「新たなる希望」「帝国の逆襲」

 そして「ジェダイの帰還」へと

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 私たちはいつか悟り 救われるのだろうか

 ダース・ベーダーが

 ルークによって救われたように

 彼を救ったものはなんであったろう

 それは「力」や「富」ではなかった

 それは自らに残っていた「父親の愛」だった

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 私たちダース・ベーダーの亜流にとって

 ルークとはいかなる者であろう

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 考えるまでもないのだ

 目を横に向ければ

 そこに幼き子や孫たちがいる

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 彼らに 正義や誇りの名のもと

 「死んでこい」と言えるのだろうか

 時代に守られてきた私たちのくせに

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 私たちは その時代に対して

 まるで 母親につばをはきかけるようにして

 今、その出自を恥じている

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 ダース・ベーダーのように

 子や孫に言うのだろうか

 「幸せになるには力がいる たとえ暗黒面でも」と

 自分の幸せを 子や孫の幸せに偽装して

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 新たなる希望を信じて

 銀河系のはるか辺境に 身を隠さねばならない

 そんな時代の幕が開いた

 「1945」の時代、支配者層であったのは

 パルパティーンのような人々

 そのクローンのような子孫たちが

 これほどまでに復活し、権力を得たのだから

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 自分自身を取り戻さねばならない

 いたいけな子や孫らのためにも

 ダース・ベーダーのように 

 とことん 暗黒面に墜ちてしまう

 その前に。。。